土地の名義人を見たら先代の名前だった!?【札幌 司法書士】
皆様、こんにちは。司法書士の竹本海雅(たけもとかいま)です。
最近、相続に関する相談などを個人のお客様であったり、他士業から伺っており相続に困っている方が見えていないだけで沢山いるんだなぁと感じております。
特に多いのが、何十年も前に相続が発生したんだけどそのまま放置していたというケース。このケースが特に多く、今回の相続登記の義務化に伴ってこの悩みを解決したいと考えている方が多く見受けられます。
このように相続が発生した後に、また別の相続が発生することを「数次相続」と呼び、表題に掲げているような状況というのは、この数次相続に該当しております。
では、実際に数次相続が発生したらどうなるのかについてお話しします。
そもそも数次相続ってなに?
数次相続とは、相続手続を放置している間に、相続人の1人が死亡し、その相続人についての相続が発生した現象のことを言います。
例えば、ある人が亡くなり(Xとします)、相続人がABの2人である場合に相続手続を放置している間に、相続人Aが亡くなりCDが相続人となる相続が発生する現象のことです。
この場合、Xの相続人はABの2人ですが、Aの相続も発生しているためXの相続を解決するためにBCDの3人が関わる必要があります。
このように、数次相続が発生した場合、1つの相続手続を解決するのに、たくさんの人の協力が必要となります。
数次相続の問題点
では、そんな数次相続はどういった点が問題点になるのでしょうか?それを詳細にお話しします。
血筋のない人に相続権が及ぶ
通常のケースでは、祖父母→親→子と相続権が及ぶのですが、数次相続が発生した場合、「相続人の配偶者」に相続権が及ぶことになります。
具体的に例えますと、次のようになります。

この事例では祖父が令和3年5月1日に死亡し、祖父の相続手続が終了していない中で、続いて祖母が令和5年6月7日に、次男が令和7年8月9日に死亡しております。
この場合、祖父の相続人は祖母と長男、そして次男となるはずです。しかし、その次男が死亡しております。この場合、次男の有している祖父の相続権を次男の相続人である「次男の妻」と「孫」が引き継ぎます。
よって、祖父の相続人は、祖母、長男、「次男の妻」と「孫」となります。なお、祖母についても死亡していますが、祖母の有している相続権については長男と次男が引き継ぐことになります。
すこしややこしいですが、結局「次男の妻」と「孫」は次男の有している祖父の相続権と祖母の有していた「祖父に関する相続権」の2つを引き継ぐことになります。
結論として、祖父の相続人は、長男と「次男の妻」、「孫」の3人となります。
このように血のつながっていない人が相続人になると、遺産分割協議がまとまらなかったり、そもそも協議に参加しないこともあります。
遺産分割協議に専門的な知識を要する
上記で述べたように、数次相続が発生しているケースでは「そもそも誰が相続人になるのか」が分かりづらいです。上記で述べた例は2つしか相続が起きていませんが、これが3つ、4つと相続が発生していたら、相続人が10人単位になることもあります。
遺産分割協議では、相続人が参加します。つまり、自分たちが相続権を持っているかどうかを把握することが前提となります。もし、個々の認識を間違えていると遺産分割協議そのものが無効になることもあります。
そこで、数次相続が発生した場合は、弁護士や司法書士などの専門家に相談し、相続人を確定させてから遺産分割協議を行うべきです。
最後に
いかがでしたでしょうか?今回は数次相続の問題点についてお話しさせていただきました。
相続が立て続いて発生した場合は、複雑な専門知識を必要とするケースがほとんどであります。
相続人の確定から、相続登記、相続税の申告までそれぞれの専門家に相談しながら手続きを進めることをお勧めいたします。
次回は、数次相続が発生したときにどんな手続きを取る必要があるのかについてお話しします。
今回は、ここまで。また次回のブログでお会いしましょう。