よく間違われる士業司法書士と行政書士の違いとは?登記は誰に頼めばいいかプロが解説!
皆さま、こんにちは。司法書士の竹本海雅です。
今回は、「司法書士と行政書士って何が違うの?」という疑問について、できるだけわかりやすくお話ししてみようと思います。
よくある誤解:「登記って行政書士でもできるんじゃないの?」
開業してからというもの、名刺交換の場などで
「行政書士さんですよね?」と間違えられることがよくあります。
名前も似ていますし、どちらも“〇〇書士”。確かにわかりにくいですよね。
実は、この2つの資格はどちらも「代書人」という明治時代の制度にルーツがあります。
昔は、法律に関する書類を作る専門家として1つの資格だったんですね。
ただ、現在ではそれぞれの業務は法律によってしっかり分かれていて、「できること・できないこと」がはっきりしています。
中でも多いのが「登記は行政書士でもできる」という誤解。
これ、実は法律的にNGなんです。
司法書士とは?|登記や裁判関連に強い専門家
司法書士は、主に次のようなお仕事をしています:
- 不動産や会社に関する登記申請の代理(名義変更や役員変更など)
- 裁判所に提出する書類の作成(訴状・調停申立書など)
- 法務局・供託所への書類作成や提出
- 一部、簡易裁判所での代理(※認定司法書士に限る)
つまり、司法書士は法務局や裁判所に関係する手続きのプロ。
相続登記や会社設立の手続き、債務整理などを多く扱っています。
行政書士とは?|許認可や契約書に強い専門家
一方で行政書士は、以下のようなお仕事が中心です:
- 役所に提出する許認可申請の書類作成・提出(営業許可など)
- 契約書や遺産分割協議書、内容証明などの作成
- 建設業・飲食業・風俗営業などの各種許可申請
行政書士が扱える書類は非常に多く、その数はなんと1万種類以上とも言われています。
主に中小企業の方や個人事業主の皆さんから、開業・許認可に関するご相談を受ける機会が多いです。
司法書士と行政書士、ざっくりどう違うの?
比較項目 | 司法書士 | 行政書士 |
---|---|---|
代表業務 | 登記申請の代理/裁判書類の作成 | 許認可申請/契約書の作成 |
提出先 | 法務局・裁判所 | 市区町村・官公署 |
独占業務 | 登記申請の代理 | 許認可の申請代理 |
簡裁での代理業務 | 一部あり(認定司法書士) | なし |
「登記を行政書士に頼もうと思ってるんだけど…」その前に知っておいてほしいこと
実際に耳にすることがあるのが、
「知り合いの行政書士に登記お願いしようと思ってる。安いし。」
というケース。
ただ、これはちょっと注意が必要です。
というのも、登記の代理申請は司法書士にしか認められていない独占業務なんです。
行政書士が登記を代理で行うと、法律違反(非弁行為)となり、刑事罰の対象になることも。
中には「申請書を作って本人に渡す→本人が出す」という“本人申請”の形をとるケースもあるようですが、万が一不備があると、その責任はご本人に降りかかってきます。
結果として…
- 申請が受け付けられない
- やり直しで時間と手間がかかる
- 最終的に司法書士に頼み直して費用が二重になる
…といった事態になることも。
迷ったら、まず相談!士業の正しい使い分け
ここまで読んでくださった方ならお分かりかと思いますが、
司法書士と行政書士、それぞれできること・得意な分野が違います。
- 登記が関わる手続き(相続・不動産・会社関係) → 司法書士
- 役所の許可や届出が関わる手続き(営業許可・ビザ関連など) → 行政書士
でも、「この手続きってどっちに頼めばいいんだろう?」と迷う場面は多いですよね。
そんなときは、まず気軽にご相談ください。
私自身も、行政書士の先生と連携して案件を進めることがあります。
お互いの専門性を活かして、依頼者の方にとってベストな解決策を一緒に考える。
それが、士業として大切な姿勢だと思っています。
最後に:まとめ
- 登記の代理申請は司法書士の独占業務です(行政書士にはできません)
- 許認可申請は行政書士の専門分野(司法書士ではできません)
- お互いの業務範囲は法律で明確に分かれています
- 迷ったらまず相談!正しい手続きをスムーズに進めるために専門家の力を活用してください
「登記?許認可?どっちに相談すればいいかわからない…」
そんなときは、遠慮なくご連絡くださいね。
本日も最後までお読みいただき、ありがとうございました。
また次回のブログでお会いしましょう!