成年後見人って何をするの?
皆さま、こんにちは。司法書士の竹本海雅です。
前回のブログでは、成年後見人がどのように選任されるのかについてお話ししました。
そして今回、長らく続けてきた「成年後見人紹介シリーズ」(今、勝手に名付けました笑)も、いよいよ最終回を迎えそうです。
今回は、成年後見人が実際にどのような仕事をするのか、その内容についてお話しします。
成年後見人の仕事内容とは?
成年後見人の仕事の本質は、ずばり「被後見人本人の代わりを務めること」です。
本人の判断能力が低下しているからこそ、本人に代わって契約を締結したり、財産を管理したりする必要があるのです。
成年後見人に選任された後の仕事内容は、大きく3つのフェーズに分かれます。
それは、①選任直後、②日常業務(平常時)、③本人の死亡後、の3つです。
① 選任直後
まずは、被後見人ご本人にご挨拶へ伺います(これは当然ですね)。
そして、本人の財産状況を正確に把握することから業務がスタートします。確認した財産内容については、家庭裁判所に報告します。
また、成年後見人として財産管理ができるように、金融機関や役所などへの届出も同時に行います。
この「財産状況の把握」が実は一番の難所で、場合によっては家の中を隅々まで確認しなければならないことも……。
② 平常時
就任直後の対応がひと段落した後は、被後見人が「どうすれば幸せに過ごせるのか」を考え、その実現のために動きます。
後見人本人だけでなく、ご家族や関係者と話し合いながら、試行錯誤を重ねる日々が続きます。
たとえば、どのような施設に入所するのか、その施設でどんなサービスを受けたいのか、あるいは入院が必要かどうか──こうした点を関係者と話し合い、本人の意思や利益を踏まえて、後見人が代わりに契約などを行います。これが「身上保護」と呼ばれる業務です。
一方で、財産の管理も重要な業務です。施設費用の支払いや税金の納付、自宅の維持管理など、本人に代わって行います。
そして年に一度、これまで行った業務内容を家庭裁判所に報告し、報酬の請求を行うこともこのフェーズに含まれます。
③ 本人の死亡後
被後見人が亡くなると、基本的に成年後見人としての業務は終了します。
ただし、その前に行うべき手続きがあります。たとえば、病院や施設の居室の明け渡し、残っている支払いの処理などです。
その後、最終的な財産目録を作成し、家庭裁判所に「後見業務が終了したこと」を報告して、すべての業務が完了となります。
最後に
いかがでしたでしょうか。今回は、成年後見人の具体的な仕事内容についてご紹介しました。
なお、成年後見制度には「保佐」や「補助」といった他の類型もあります。それぞれに細かな違いはありますが、基本的な業務の方向性は共通しています。
つまり、本人の意思を尊重しながら、関係者と協力してその生活を支えていく──これが後見人の根本的な役割です。
その意味では、とても責任が重い反面、大きなやりがいを感じられる仕事でもあると、私は思っています。
それでは今回はこのあたりで。
また次回のブログでお会いしましょう!