孫に遺産を残すにはどうすればいい??方法と注意点を解説
お孫様に遺産を残したいとお考えの方へ
皆さま、こんにちは。司法書士の竹本海雅(たけもと かいま)です。
今回は「お孫様に遺産を残す方法」について、司法書士の立場から分かりやすくご説明いたします。
お孫様は相続人になれるのでしょうか?
結論から申し上げますと、お孫様は原則として法定相続人には該当しません。
民法では、配偶者が相続人なり、そのうえで誰が相続人になるのかについて、以下のように順位が定められています。
- 第1順位:子(養子を含む)
- 第2順位:父母
- 第3順位:兄弟姉妹
このように、相続の優先順位は「子 → 親 → 兄弟姉妹」の順に決まっており、お孫様はこの中に含まれていません。
お孫様が相続人となるケース(例外)
ただし、以下のような場合にはお孫様が相続人となることがあります。
- 代襲相続:本来相続するはずだった「子」が、被相続人(亡くなった方)より先に亡くなっていた場合
- 養子縁組:お孫様が被相続人と養子縁組をしていた場合
補足:代襲相続とは?
代襲相続とは、被相続人の子がすでに亡くなっているときに、その子(つまりお孫様)が代わりに相続する立場を引き継ぐ制度です。
この場合、お孫様は第1順位の相続人として扱われ、正式に相続の対象となります。
遺言書でお孫様に遺産を残す方法
代襲相続に該当しない場合でも、お孫様に遺産を残す方法はあります。
それが「遺言書」の作成です。
遺言書でお孫様を受取人に指定すれば、法定相続に優先して遺産を渡すことが可能です。これは「遺贈」と呼ばれ、法的にも有効な手段です。
※注意:遺贈する金額によっては、お孫様に相続税の申告義務が発生する場合があります。
具体的な遺言書の作成方法は次の記事に書かせていただいておりますのでご覧いただけますと幸いです。
お孫様に遺産を残す際の注意点
お孫様に遺産を残す場合、以下のようなリスクや注意点もございます。
1. 親族間のトラブル
遺言や生前贈与によってお孫様に財産が渡ることで、他の相続人が不公平感を抱くケースがあります。
特に、「なぜ孫に遺産が?」といった疑問から、親族間のトラブルへ発展することもあります。
2. 相続税の2割加算
お孫様が、相続財産を引き継いだ場合、お孫様に相続税の2割加算が発生し、他の相続人より多くの相続税を納める必要が生じます。
2割加算とは、亡くなった方の1親等の血族や配偶者ではない方が、相続財産を引き継いだ場合、相続税が2割増しになってしまうという仕組みであります。
しかし、この場合でもお孫様が代襲相続によって相続人となる場合は、この2割加算が発生しません。
まとめ:お孫様へ遺産を残すためには計画と準備が大切です
お孫様は原則相続人には該当しないため、何も対策をしなければ遺産を渡すことはできません。
ですが、以下のような方法で遺産を引き継がせることが可能です。
- 遺言書の作成
- 生前贈与の活用
- 養子縁組の検討
とはいえ、税金や親族間の関係など、注意すべき点も多く、一筋縄ではいかないのが実情です。
そのため、事前の準備と家族間での十分な話し合いが非常に重要です。
「お孫様に遺産を残したい」とお考えの方は、ぜひ専門家へのご相談もご検討ください。
安心して将来を迎えるために、今からできる準備を一緒に進めてまいりましょう。
本日もお読みいただきありがとうございました。
次回のブログでまたお会いしましょう。